4月, 2020年

テレワークで発生した経費について

2020-04-28

経費を把握する必要性
テレワークの導入によって、職場で発生していた費用の内の一部が従業員の自宅で発生するようになります。これらを従業員が負担すると業務上発生した会社の費用を網羅的に把握できなくなるため、できるだけ把握して費用認識をする必要があります。
テレワークを導入したての会社ですと、従前の経費精算規程に出張旅費規程等はあってもテレワークに関する経費精算規程はないでしょうから、変更に合わせて規程の更新が必要になる場合も考えられます。

費用項目毎の検討
電話代については会社から貸与された電話がなければプライベートの電話を使用しますが、その場合通話記録を提出して経費精算手続を行います。インターネットプロバイダー料金は月額固定である場合が多いので、プライベートと区分することは難しく把握ができないものです。電気代を試算したところ1日8時間使用したと仮定して、デスクトップパソコンは1日10円から20円、ノートパソコンは5円から10円なので精算処理をするコストを考慮すると判断に迷うところです。
従業員宅で発生する費用ではありませんが、毎日の通勤がなくなるため、通勤費の支給形態を通勤定期代の支給から日毎の実費精算に変更することで費用削減ができるかもしれません。その場合は給与と一緒に支給されていることがあるので人事給与データの変更も併せて行う必要があります。

アメリカの従業員経費
アメリカでは通勤費は支給されず会社員は自腹で定期を買っているそうです。国全体が車社会だからなのか、働く場所も住む場所も個人の自由なので、会社が通勤費を負担する理由に乏しいということなのでしょうか。また残業食事代のような手当がない代わりにキッチンに軽食や飲みものが用意されているそうです。働く環境を快適にすることと、個々に外食を取るよりも従業員が同じものを食べることで連帯感を育むためかもしれません。

コロナ延期の根拠規定

2020-04-10

申告期限4月16日まで延長

首相の全国小中高一斉休校要請の2月27日発言のあった日、所得税の申告期限も4月16日まで延長されることになったとの情報が流されました。首相発言は、新型コロナ感染症対策本部での発言で、その末尾は行政機関宛てで、感染拡大抑制に必要な法案を早急に準備せよ、と締め括っています。申告期限延長はこれに応じたものです。

所得税の申告期限は3月15日と所得税法で定められています。なお、国税通則法には、「災害その他やむを得ない理由」があるときの期限延長規定が用意されていて、「その理由のやんだ日から2月以内」とされています。「理由のやんだ日から」との規定なので、これは今般は適用しにくいため、今次は特別な法案を準備するのでは、と推測されました。

3月6日に国税庁長官告示で対応

申告期限の延長をアナウンスしていた国税庁のホームページに、3月6日に国税庁長官の官報告示がなされた、との情報が付加され、これにより国税当局は、期限延長の法的手続きが完了したとの態度を示しています。

国税庁長官の官報告示はその法的根拠を国税通則法施行令第3条第2項としています。この政令規定は、先に適用しにくいと指摘した国税通則法の規定の委任規定で、しかも、その第2項は、e-Tax 使用不能事象発生の場合の混乱に対処する目的で平成29年に急遽追加された規定です。

長官告示で済めばラクチンだろうが

国税通則法施行令第3条第2項はe-Taxブラックアウトのような現象を想定しての規定ですが、それを例示の代表としてそれに類似する「その他の」多数行為困難者発生事例にも対処出来るとの規定になっています。

ただし、例示規定なので、適用には類似性の検討が要求されます。e-Taxブラックアウトの類似例に今般の新型コロナ事件は該当するのか、と問えば、疑問アリです。その上、「その理由のやんだ日から2月以内」との規定が委任元の法律にあるので、類似性があっても「理由のやんでない」事例は排除されるように思われます。

法律上「その他の」は「包括的例示」、「その他」は「並列的例示」

納税者不利処理ではないものの、この検討からは、長官告示で済ませてよいものなのかには疑問が残ります。

国税のコロナウイルス対応

2020-04-09

確定申告期限が延長された本年

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。所得税・贈与税の申告期限は1か月延長となりました。その他の税の手続きを延長できる制度にも、変更が加えられている部分があります。横断的に見てみましょう。

 

今般の感染症=災害

新型コロナウイルス感染症に関しては、これまでの災害時のような資産への損害・帳簿等の消失といった直接的な被害は生じていないものの、患者になった、あるいは濃厚接触者になり外出自粛等の要請が行われるなど、「自己の責めに帰さない理由」があるため、従来の法人税等の申告期限延長の申請理由の他に、以下のようなケースでも申請が認められます。

①税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症になった

②納税者や経理責任者が外国に滞在中で、入出国制限にかかり戻ってこられない

③経理担当者等が感染及び感染対策で休暇を取っている

④感染防止のため株主総会の開催時期を遅らせた

⑤納税者が保健所や医療機関等から外出自粛の要請を受けた

 

相続税の申告期限の延長

新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、相続税の申告期限までに申告できない場合については、個別の申請で期限等が延長される場合があります。ただし、個別の申請で延長されるのは、その申請を行った方のみとなります。他の相続人等の申告期限等は延長されませんから、「ウイルス関連で相続の話し合いができない」等の事態に陥った場合は、相続人全員分の申請を忘れないようにしましょう。

 

納税の猶予にも感染症事由が適用

事業の損失等で国税を納付できない場合、最大1年間の分割納付が受けられる「納税の猶予」制度があり、感染症を事由に受けられるケースがあると国税庁は公表しています。また、本来は納税の猶予に担保の提供が必要ですが、今般の感染症の影響である場合は、担保は不要としています。

雇用調整助成金の コロナウイルス関連特例の続報

2020-04-09

雇用調整助成金のおさらい
景気変動の影響を受け、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者の雇用の維持を保つ目的で、計画的に行う【休業】の際に支払う【休業手当・賃金等】の一部を助成するものです。補助率は一定期間、中小企業は支払った休業手当の5分の4(解雇がなければ9割)最長約190日分にアップしています。
受給要件(コロナウイルス特例時)
通常は売上げ減が3か月継続していることや雇用増員した人数によって制限がありますが、特例時はその要件が緩和されています。
■景気の変動等、経済上の理由であること
・コロナウイルスの影響で市民活動が自粛されたことにより、客数が減った。
・コロナウイルスの影響で風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減った等、
■事業活動の縮小が確認できること
■生産量要件を満たしていること
★売上高や生産量の直近1か月間の値が前年同期に比べ5%以上減少していること
★事業所設置1年未満の場合は、直近1カ月間の値が令和元年12月に比べ5%以上減少していること
■判定対象期間1か月における対象者の休業延べ日数が、所定労働日数延べ日数の1/20(大企業1/15)となるものであること
■対象者が雇用保険加入者以外も対象になりました
■支払う休業手当の額が、平均賃金の6割以上となっていること
■事前に労働者代表と協定を結ぶこと
■雇用保険適用事業主であること
■労働保険料の滞納がないこと
令和2年6月30日までに休業等を開始した場合、計画届の事後提出が認められます。(令和2 年1月24日以降に開始しているもののみ)
つまり前年同月から売上5%減+従業員を休ませて休業手当を支払う+ある程度の規模の休業を行ったor行う予定がある(中小企業で20人、所定労働日数20日/月の企業だと20人/日以上の休業)以上の条件を満たすと対象の可能性があります。
休業補償を行い働いている人の雇用保護を図ることで雇用調整助成金の対象になります